男女みえネット | 声明文

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STATEMENT

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今こそ、男女共同参画社会実現に向けた本気の取り組みを

日本の現状

 2003年男女共同参画推進本部で決定された、社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%とする「202030」は、2005年の第2次男女共同参画基本計画で打ち出された。「30%」という比率は、少数派が少数派でなくなる分岐点を表すとされ、多様性も反映される重要な意味を持つ。しかも「30%」でよしとしているのではなく、「30%」を超えると組織の文化が変わるゆえに、「少なくとも」という副詞がつけ加えられている。
 2015年、国連は世界の変革に向けて、「203050」をスタートさせた。女性だけでなく男性、次世代などすべてのアクターが関与し、文化、宗教、慣行等を理由とした男女間の不平等を終わらせるため、2030年までに男女半々=ジェンダー平等の地球を!というものである。同年12月、日本政府は第4次男女共同参画基本計画では、各分野での女性登用目標を2020年度末までに中央省庁の課長・室長職で7%、民間企業の課長職で15%などと明記した。「202030」は達成出来ないと見越したのか、下方修正したと言える。  
 2019年12月、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が発表したジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)で、日本は153カ国中121位と前回(149カ国中110位)よりも更に後退した。GDP(国内総生産)世界第3位の日本であるにもかかわらず、経済と政治の分野での女性の参画率は低い。
 2020年を迎えた現在、女性登用目標「30%」の数値は見る影もない。理念法である「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」や「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」に、「罰則規定」や「クオータ制」を導入して法律を実効性のあるものにし、社会のシステムを変革するなど相当の加速的措置をとらないと、世界目標「203050」のジェンダー平等社会から取り残されてしまう。

男女共同参画みえネットの活動

 私たち男女共同参画みえネットは2008年から「男女共同参画社会の実現」を目標に、三重県内をネットワークで連携し、「意思決定の場への女性の参画」によって「景色を変えて、意識を変える」を具体的な活動目標として掲げ、社会のシステムを変えるための活動をしてきた。「どうなっていますか?あなたの市町の男女共同参画」「どうやる!?わたしの市町の男女共同参画」と、「202030」を含め男女共同参画は、日本政府だけではなく、私たち市民が身近なところから進めていく、私たちが住む三重県内のわが市町から変えていこうとの思いを結集させてきた。
 2011 年の東日本大震災の課題として、政策・方針決定をはじめ応急、復旧・復興における意思決定の場への女性の参画割合が著しく低いため、女性の意見が反映されないという「男女共同参画の視点」の認識不足が顕在化された。内閣府男女共同参画局担当官の「平常時からの男女共同参画の重要性」という言葉が重い。

変革構築する政策

 国の2019年度「男女共同参画社会に関する世論調査」で、固定的性別役割分担意識「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に「賛成する」が過去最少の35%になった。しかし、令和元年版「男女共同参画白書」によると、共働き世帯数が増加しているが、家事は約8割から9割、育児は約7割を女性が担い、介護・看護を理由とした離職者は女性が約8割を占める。また、非正規雇用労働者の約5~6割が女性で、男女間所定給与は2~5割ほどの差がある。これらの数値から、女性には家事・育児や介護などの負担が大きく、経済的な自立も難しいと言える。「すべての女性が輝く社会づくり」のためには、現状を把握し、「男性稼ぎ主モデル」の脱却、長時間労働の禁止、年功序列の廃止、同一価値労働同一賃金の確立など、現実の問題に対し時代に沿った社会基盤を変革構築する政策を打ち出すべきである。

新型コロナウイルス感染症

 2020年3月11日世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の拡大を世界的大流行と宣言した。私たちも、これまでにない生活を余儀なくされた。外出自粛、学校休校、施設介護サービス停止などにより、配偶者間の暴力、児童虐待、高齢者や障がいを持つ人などの要介護者・要支援者への虐待など、被害の深刻化が懸念される。また企業活動の自粛により、非正規労働者を中心とした自宅待機や雇止めが大きな問題となっている。現在、自粛規制が緩和されたとはいえ、問題の解決には至らない。その上、COVID-19にかかる「特別定額給付金」の受給権者は、世帯主とされ個人ではない。さらに、マイナンバーカードを持っている人も、オンラインでの申請が行えるのは、世帯主のみである。これらCOVID-19によって引き起こされている社会問題は、女性により多くの負担を強いている。 

私たちの描く社会

 私たちは、これらの問題はすべてとは言い難くも、「男女共同参画社会」が形成されていないことに起因していると捉える。今、この世界的危機だからこそ、男女が社会のあらゆる分野に参画する機会をもち、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、そして共に責任を担うべき社会でなければならないと考える。 
 
 私たちは「男女共同参画社会」の実現に向け、次の項目について、三重県に住む私たちの発信として、懸命に取り組むことを声明する。 
 
・あらゆる分野の意思決定の場での男女比50:50が実現するまで、社会のシステムを変えるための「男女共同参画」関連事業を、県市町行政や県市町民と連携し、展開していく。 
・女性差別撤廃条約と、その実効性を高めるために制定された女性差別撤廃条約選択議定書について、三重県内で広く周知していく。(紹介パネルの活用や講演会の開催等)
 
 私たちは、「叩けば扉は開く、叩き続けよう」を合い言葉に、声をあげ続ける。